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何となくヴェネツィアに行った時の事だ。
クリッパーに乗れるようになるという目的を果たしたことで、新たな目標が定まらない私は、現在世界各国を愛船でウロウロしている。
クリッパーに船を換えてから、私の行動範囲は少し広くなった。
今まで面倒くさがっていたインドにも、まぁ、定期船を使ってだが行くようになったし、何より移動日数がジーベックよりも短縮されるということもあってか快適な航海ができる。
もはやクリッパーは私にはなくてはならない存在だ。
そんなわけで、本当に何となくふらふらとヴェネツィアまでやって来たわけだ。
よほどの用がある限り行かない街なので久々にエレオノーラと話したりして、楽しい時間を過ごせた。
しかし、遊んでばかりいるわけではない。
これでも一端の冒険者だ。ちゃんと仕事だって探す。
広場の冒険者仲介人に何かいい仕事はないかと催促してみたところ、

「そうだな、こんな依頼はどうだ?」

「あんまり遠くに行くような仕事は嫌ですよ。この前だって、インドに飛ばされたんですから」

行動範囲が広くなったとはいえ、やはりインドやカリブに行くのは面倒なのが本音である。

「まぁ、聞いてくれ。ある老婦人から依頼だ。
 ずいぶん前にヴェネツィアを出た息子さんから、連絡が来ないんだと。
 消息を追う共にこの手紙を渡して欲しいそうだ。息子さんはリスボンで船大工をしていたらしい。
 リスボンに向かい、この手紙を届けてくれ」

一体どんなすごい仕事が来るかと思ったら、早く済みそうな内容に私は拍子抜けした。
手紙を届けるだけなのに報酬が25万ドゥカートもするとは…。
依頼人は余程その息子のことが大事なのだろう。

「なんだ。リスボンに行って手紙を届ければいいだけなんですか?
 それならお安い御用ですよ。その仕事、私が請け負います」

「まぁ、あんたなら大丈夫だろう。それじゃ、頼んだぜ」

仲介人から手紙を受け取った私は、失くしてしまわないように鞄の中に大事に入れた。
次の日、私はヴェネツィアを後にしてリスボンへ旅立った。
その先に待ち受ける結果が、どんなに悲しいものかも知らずに。





すいませんでした!何か色々すいませんでした!
何か文章の神様が降臨したっぽいので書かずにはいられませんでした!
あれ、何か続くっぽいよ?
神様が見放さなければだけど!
続き


リスボンに到着した私は、早速造船所に向かって例の息子を捜すことにした。
ヴェネツィア出身だから船大工たちにどこの出身か聞けばすぐに見つかるだろう。
単純に考えた私は一人ひとりに聞いてみることにした。

「あのー、お仕事中すみません」

近くにいた船大工が仕事の手を止めて私に答えてくれた。

「おい、嬢ちゃん。こんなところにいたら、鋸やら金槌やらが飛んできて怪我するぜ」

「あー、それは大丈夫です。頭固いんで。
 一つお聞きしたいんですけど、あなたの出身はどこですか?」

「ああ、俺の出身地?そんなこと聞いてどうするんだ?」

「ちょっと人を捜してまして」

「俺は生まれも育ちもリスボンの、根っからのリスボンっ子だ。
 用はそれだけかい?大怪我しないうちにさっさとどいた方がいいぜ」

忙しいのか早々に話を済ませてしまうと船大工はまた仕事に戻ってしまった。
それから、造船所にいる船大工に一通り出身を聞いてみたが、ほとんどポルトガル国内かイスパニアの出身の者が多く、ヴェネツィア出身という船大工は一人もいなかった。
もしかしたら今日は休暇をとっているのかもしれない。
しかし、さっさと仕事を済ませてしまいたい。
今日来ないのであれば、明日渡してもいいかとも考えたが、明日来る保証もないのだ。
私は造船所の親方に、例の息子がいつ造船所に来るのか尋ねてみた。

「いらっしゃい。造船の依頼かい?お嬢さん」

「いえ、ちょっとお尋ねしたいことがありまして…」

「尋ねたいこと?」

「はい、ここの造船所にヴェネツィア出身の船大工がいると聞いて来たのですが、見当たらないので…。
 私、その人に手紙を渡さないといけないんです」

「ヴェネツィア出身の船大工…?もしかして、ジョヴァンニのことかい?」

「ジョヴァンニさんっていうんですか?その人、今度いつここに来るか分かりますか?」

例の息子はジョヴァンニというのか…新たな情報入手だ。
すぐに返事をくれるかと思っていた親方は、何かを考え込むように黙りこくってしまった。
何かまずいことを聞いてしまっただろうか。
そもそも、本当にリスボンにいるのかも怪しい。
これで本当は違うところにいるなんて言われたら、捜しようがない。
頼むからリスボンにいてくれ、というのが私の心情だ。

「お嬢さん、残念だがジョヴァンニはここにはいないんだ」

本当に残念そうな表情で、親方は私に言った。
まぁ、ある程度予測していた結果なのであまり驚かない。
親方は淡々と語り始めた。

「でもな、確かにいたよ。もう5年ほども前になるかな。
 しゃかりきになって、仕事をして一財産を築いたんだが、
 その直後自分で立派な船を作り、水夫を雇ってリスボンを出航してしまった」

「ここを?行き先は聞いていますか?」

「あいつ、俺には行き先を言わなかったんだよ。
 でも良く働く奴でなぁ…そいつはよく酒場で一人、酒を飲んでいたな」

親方はそう言うと再び黙りこくってしまった。
ジョヴァンニのことを思い出しているのだろうか、どこか寂しげな目をしている。
自分で船を作って出航したということは、どこかの港に何か目的があったのだろうか。
これはいよいよ消息が分からなくなってきた。
私は更なる情報を求めて、リスボンの酒場に足を運ぶのだった。



続く―――かもしれない。





感想とか待ってるんだぜ?
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